今回は、中古スマホの買取事業を営む企業様に対して、在庫管理・出荷管理・帳票作成までを一体で運用できる仕組みを構築した事例をご紹介します。
導入前の課題
中古端末の買取は、1台ごとに状態が違います。同じ機種でも、傷、バッテリー、ネットワーク利用制限、付属品の有無などによって扱いが変わります。つまり在庫が1点物の集合になります。
この事業では、次の業務が同時に動いていました。
・仕入れた端末の在庫管理
・1台ごとの検品
・出荷前の確認
・納品書などの帳票作成
・端末ごとの状態、出荷先、対応状況の管理
それぞれが別の担当者、別の道具で管理されている状態では、在庫の数は合っていても「どの端末が検品済みで、どれが出荷できる状態なのか」がすぐに分かりません。
さらに、検品結果を管理表に転記し、出荷時にまた別の帳票へ写す運用では、作業が増えるだけでなく、記載ミスや確認漏れも起きやすくなります。
検討で決めたこと
最初に決めたのは、検品を起点にして在庫・出荷・帳票作成までつなげることです。
中古端末は1台ごとに状態が違うため、検品結果そのものが在庫管理の中心になります。検品で確認した内容が、その後の出荷可否や帳票作成にも使われます。
そのため、検品結果を後から別の管理表に転記するのではなく、検品した時点で在庫情報に反映される構成にしました。
もう1つ決めたのは、現場の入力を増やさないことです。管理側が見たい項目を増やすだけでは、現場の負担が増え、入力が続かなくなります。入力した内容が、その場で在庫確認や出荷準備に使えることを重視しました。
帳票作成についても、別作業として切り出さない方針にしました。納品書などの書類を作るために同じ情報を再入力するのではなく、業務データから必要な帳票を作れる状態にすることを目指しました。
構築したもの
在庫一元管理システムを中心に、検品結果、在庫状況、出荷情報、帳票作成を同じデータ上で扱えるようにしました。
検品で確認した端末の状態は、在庫情報に反映されます。どの端末が検品済みで、どれが出荷できる状態なのかを、別途集計しなくても確認できるようにしました。
出荷管理では、出荷対象の端末、出荷先、対応状況を確認できます。検品結果と在庫状況が同じ画面上でつながっているため、出荷前に情報を探し回る必要がありません。
帳票作成では、端末情報や出荷情報をもとに、必要な書類を作成できるようにしました。検品結果、端末情報、出荷先情報が同じ流れの中にあるため、帳票作成のために同じ内容を再入力する必要がありません。
現場の作業である検品と、管理側の作業である出荷・帳票作成が、同じ在庫データの上でつながる構成です。
導入後
在庫の状況と出荷の状態が常時見えるようになったことが、最も大きな変化です。
検品については、記録した内容がそのまま在庫に反映されるため、後からまとめて入力する作業が減りました。検品済みの端末はすぐに出荷や管理の判断に使えるため、次の作業を待たせずに進められます。
出荷についても、対象端末の確認から帳票作成までが同じ流れで進められるようになりました。以前は、出荷前に複数の管理表を確認したり、書類作成のために情報を転記したりしていましたが、その作業が減っています。
帳票作成の負担も下がりました。必要な情報がすでに業務データとして登録されているため、書類を作るためだけの入力が不要になります。
運用してみて分かったのは、現場が入力を続けてくれるかどうかが、この種のシステムの成否を分けるということです。入力した内容が、その場で在庫確認や出荷準備に返ってくる設計にしたことで、入力が形骸化せずに続いています。
逆に言えば、現場に返らない入力項目は、どれだけ管理側に必要でも定着しません。
同じ課題を持つ企業様へ
現場作業のある事業をシステム化する際のポイントは3つです。
1)検品結果を、その後の在庫管理・出荷・帳票作成にそのまま使える形にする。
2)現場の入力を増やさない。現場が入力する分は、必ずその現場の作業に返るものにする。
3)帳票作成のためだけの転記をなくす。必要な書類は、業務データから作れる状態にする。
管理側のためだけに作ったシステムは、現場では使われなくなります。現場の作業が楽になり、その結果として管理に必要な情報も自然に集まる形を作ることが大切です。
ご相談
本記事では、実際の検討内容のうち一部のみをご紹介しています。どの業務からAI化・システム化すべきかは、業種と現在の運用によって変わります。
無料相談では、30分で以下を整理します。
・AI化・システム化できる業務の洗い出し
・優先順位(効果と着手しやすさ)
・研修、ツール導入、システム開発の切り分け
・補助金活用の可能性
株式会社Curio 代表取締役 平山 真梨花

